印刷会社で働く2代目社長の次世代印刷ブログ

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iPad専用スキャナ「iスキャミル」にみる最新ポータブルスキャナ事情



 キングジムが発表した、iPad専用のスキャナ「iスキャミル」。本体をDockに見立てて上部にiPadを接続。専用ユーティリティを用いることで、スキャンした文書データをそのままiPadのカメラロールに保存できるというユニークな製品だ。
【画像でみる、最新ポータブルスキャナ事情】
 本製品に限らず、昨今では紙資料をデータ化するための製品として、PFUの「ScanSnap」シリーズをはじめとするドキュメントスキャナ、さらに本製品の従来モデルに相当する「スキャミル」などのポータブルスキャナなど、さまざまな種類の家庭用スキャナが目白押しだ。また、スマホを簡易スキャナ化するカメラアプリも定番になりつつある。

 これらの背景には、紙資料を処分してすっきりさせたいというニーズがあるのはもちろん、Evernoteなどにデータを保存してスマートフォンから容易に取り出せるようにしたいというクラウドブームの影響もありそうだ。今回は「iスキャミル」の実力チェックに加え、これらスキャナ製品選びのポイントについて、さまざまな視点から見ていくことにしたい。

●iPadの大画面で、読み取り結果をすばやく確認

 「iスキャミル」がユニークなのはその挙動だ。まずは動画をご覧いただこう。

動画:iPad専用スキャナ「iスキャミル」にみる最新ポータブルスキャナ事情 (http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1202/02/news073.html)

「iスキャミル」で原稿を読み込んでいるところ。本体手前のガイド部に原稿を差し込んで専用アプリのスキャンボタンをタップするとスキャンが始まる。データはJPG形式でカメラロールに保管。原稿はiスキャミル背面にストレート排出する

 いわゆるフラットベッドタイプのスキャナを含め、スキャナと名のつく製品にはさまざまな種類があるが、このようにデータ化のプロセスを可視化した製品はこれまでなかった。もちろん「可視化」といっても擬似的に見せているだけではあるが、原稿がiPadの中にスルスルと入っていくかのようなインタラクティブな動きは使っていても面白いし、分かりやすさという意味でも秀逸だ。iPadの画面の大きさをうまく生かしたこの挙動、なかなかのアイデアといっていいだろう。

 そもそも、これまでのポータブルタイプのスキャナは、原稿の読み取り結果の確認方法に難があった。というのも従来のポータブルスキャナの多くは、本体に液晶画面を持っておらず、読み取り後にUSB接続もしくはmicroSD経由でPCにデータを転送しなければ、読み取り結果を確認できなかったからだ。何十枚もスキャンしたあとにPCにデータを転送して確認したところ、どれも斜行していたり、色味がおかしかったり、あるいは表裏を間違えていて全部真っ白だったりということは、十分あり得たわけだ。

 今回の「iスキャミル」も、従来製品と同じく画質面ではドキュメントスキャナに及ばないのだが(詳しくは後述)、読み取り結果をiPadの大画面ですぐに確認できるため、スキャンしたデータがまるで使いものにならないという致命的なミスは回避可能。PCが不要で使用でき、iPadさえあれば本体内にデータを直接保存できることも評価していい。

 ちなみに本製品の従来モデルに相当する「スキャミル」は、本体に2.4型のカラー液晶を搭載することで読み取り後のチェックをPCレスで行えることが特徴だったが、画面サイズが一般的な携帯電話よりも小さい2.4型ときては、さすがに使い勝手はよいとは言えなかった。その点、9.7型のiPadに表示できるというのは、完全な原寸大ではないにせよ、実用性は高い。やや使い古された表現ではあるが「ポータブルスキャナ2.0」と言っていい製品だ。

●300dpi、片面読み取り、フォーマットはJPGという割り切った機能

 と、「iスキャミル」のすぐれたポイントを紹介したが、これは従来のポータブルスキャナと比べた場合の話で、ドキュメントスキャナもひっくるめて比較検討すると、何ができないのかが見えてくる。本製品の仕様面を見ながら、ひとつずつチェックしていこう。

 解像度は300dpiで固定となっており、変更はできない。また読み取りは片面のみで、保存形式はJPGだけだ。読み取った原稿をiPadのカメラロールに保存する以外に、加工や補正などの機能はいっさい持たない。保存後は別のアプリを使ってよろしくやってね、という割り切ったスタンスだ。PDFに対応しないことからOCRなどの機能も備えない(OCR機能追加のアップデートを予定しているとのことだが、いまのところ詳細は不明)。

 最大読み取りサイズは約216×356ミリ。つまりA4サイズ大だ。キャリアシートを用いてのA3サイズの原稿の取り込みや、長尺モードでのスキャンは行えない。辺が50ミリ以下の小さな原稿については添付のスキャン用シートにはさみ込むことで読み取りが行える。

 背面に給電用のUSBポートを備えており、iPad付属のUSB-AC電源アダプタを用いてUSBケーブルでコンセントに接続する。ドキュメントスキャナのようにPCに直結して読み取りが行えるわけではないので注意したい。ちなみに本体の電源をオフにした状態ではiPadの充電も行えるので、充電スタンドとしての役割も果たす。

●読み取ったデータはカメラロールに保存、読み取り速度に注意

 使い方はさきの動画のとおりで、本体手前のガイド部に原稿を差し込み、専用アプリのスキャンボタンをタップするだけ。読み取ったデータはJPG形式でカメラロールに保管され、原稿はそのまま背面にストレート排出される。背面に排紙される場所がないと、原稿がグチャグチャに曲がってしまいかねないので気を付けたい。このあたりの注意点は、一般的なポータブルスキャナと基本的に同様だ。

 カメラロールに保存した画像は、メールで送信したり、プリントしたりと、カメラロール側の操作でさまざまな用途に使える。EvernoteやDropboxなどのアプリで開いてアップロードすることももちろん可能だ。このあたりは普段使っているアプリの機能をそのまま使えるので馴染みやすいとも言えるし、アプリを切り替える手間がかかるぶんマイナスとも言える。一長一短だ。

 ドキュメントスキャナと比べた場合に注意したいのは、本製品は読み取り形式がJPGのみで、かつ片面のみという点。本製品と本体サイズがほぼ等しいPFUの「ScanSnap S1300」や、キヤノンマーケティングジャパンの「DR-P215」は、読み取り形式はJPGのほかPDFが選べ、また両面同時に読み取りが行える。

 速度についてもかなりの差がある。冒頭の動画では、1枚の原稿をスキャンしてカメラロールへの保存が完了したというダイアログの表示まで、29秒だった。給紙に要する時間を抜きにしても、およそ毎分2枚というペースだ。これはポータブルスキャナの中でも速度が遅かった従来モデルの「スキャミル」よりもさらに遅い値だ。

 さらに「ScanSnap S1300」や「DR-P215」などコンパクトタイプのドキュメントスキャナは読み取り速度がおよそ毎分4〜6枚で、両面読み取りということでその2倍の面を時間内に読み取れる。加えて本製品では原稿は1枚ずつセットしなくてはならないため、原稿の枚数が増えれば増えるほど、トータルでの所要時間の差は蓄積されていく。逆に言うと、そうした使い方が許容できる人向けの製品、ということになるだろう。

●モノクロよりもカラー原稿向け。斜行しやすい構造はやや疑問

 また、300dpiという解像度はスペック上は必要十分に思えるが、同じ解像度でScanSnapで取り込んだ原稿と比較してみると、クオリティにはかなりの差がある。ScanSnapで取り込んだ原稿はまったくの無補正でもまず問題なく使えるが、本製品で取り込んだ原稿は文字がぼやけたようになっており、重要な書類をデータ化して他の人に送るには少々つらい。ただしEvernoteにアップしてテキスト検索するのに支障はなかったので、個人的に使うには問題ないとも言える。

 それよりも気になるのが、ほかのポータブルスキャナと同様、地肌が真っ白にならないことだ。読み取りがカラーモードなので色が多少乗るのは仕方ないにしても、ふつうのコピー用紙でありながら地肌がグレーがかってしまうのは、少々いただけない。付属のキャリブレーションシートを使ってみたが、見る限り改善した様子はなかった。さきの文字がぼやける問題と合わせて、読み取ったデータを他人に送るのであれば、別途色味を補正したほうがよいだろう。

 一方、写真などのカラーベースの原稿は全体的に色が付いていることもあって、これら地肌の色はほとんど目立たず、実用レベルに達しているといえる。このあたり、ビジネス文書よりも写真などに向いたチューニングがなされているように見える。iPadで使うのだから色鮮やかな原稿のニーズのほうが高い、という考え方なのかもしれない。

 むしろ問題なのは、その構造上、原稿が斜行しやすいことだ。給紙のガイド部は原稿の幅に合わせて左右にスライドさせるのだが、すこし力を加えればズレてしまうほど軽く、斜行補正の役割を果たしていない。

 一般的にポータブルスキャナは斜行が発生しやすい機種が多いのだが、それでもガイドにしっかり沿わせればミスの発生は最小限に抑えられる。しかし本製品はそのガイドがしっかり固定できないことから斜行を誘発しやすく、一発できちんと読み取るのが非常に難しい。ハードソフトひっくるめて、どこを真っ先に改善すべきかと問われると、筆者はおそらくここだと答えるだろう。

●画像やメモなど1枚単位の文書を自分用に保存するための入門機

 以上のような特徴から考えると、本製品は両面印刷のビジネス文書を取り込む用途よりも、画像やメモなど、1枚単位の文書をデジタルデータとして取り込み、自分用に保存するための製品と言える。PCよりもiPadの利用頻度が高く、スキャナの類は持っていないユーザに対する、入門機という位置づけになるだろう。

 また、ここまでの検証でお分かりいただけると思うが、本の自炊などにはまったく向かない。たくさんの枚数を一括して取り込むのに向かず、さらに片面ずつしかスキャンできないからだ。一方で名刺の取り込みには実用的だと思うが、iPadに名刺を取り込むニーズはiPhoneに比べるとあまり多くないと思われるので、なんとも判断が難しいところである。

 価格については、実売想定価格が1万5540円と、実売2万円台前半のコンパクト型ドキュメントスキャナとの価格差は数千円程度。読み取り後の確認がたやすいという意味で、ポータブルタイプのスキャナの中ではおすすめできる製品であることに間違いはないのだが、ドキュメントスキャナとの機能差まで含めて考えた場合、冷静にチョイスしたほうがいいだろう。

 また、最大の特徴であるスキャン時のアニメーション効果も、見た目のインパクトは大きいが、しばらくして飽きてしまうとむしろ目障りになる可能性がある。電子書籍のページめくり効果と同じく「そんなアニメーションをしている余裕があれば処理速度を早くしてくれ」というわけだ。もちろんオフにできたところで処理速度がそうそう変わるとは思えないが、形だけでもオンオフできる機能があったほうがよい気もする。

 さらに冒頭の動画でお気づきになった方も多いと思うが、このアニメーション効果、原稿が取り込まれるスピードと、画像が下からせり上がってくるスピードが一致していないなど、最大の特徴であるにもかかわらず作り込みが甘い。取扱説明書を見ると「iPadのスクリーン上に画像のすべてが表示されたらスキャンは完了です」とあり、どうやら処理が終わるのを待って表示させているようなのだが、体感的には原稿が取り込まれる速度に合わせて画面上にプレビューを表示し、内部の処理は後回しにすべきではないだろうか。

 ——と、もろもろ気になる点を挙げたが、ハードウェアを除く挙動については、アプリ側のチューニングでいくぶん改善できる可能性もある。これまでのポータブルスキャナの欠点を改善した意欲作であることは間違いなく、またOCR対応など機能追加も予定されているとのことなので、今回試用した機材が発売前の評価機であったことも踏まえて、今後ますます進化していくことを期待したい。

[山口真弘,Business Media 誠]



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120202-00000079-zdn_b-bus_all
※この記事の著作権は配信元に帰属します。



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