印刷会社で働く2代目社長の次世代印刷ブログ

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「ウメサオタダオ展」でアイドルたちが感じたものとは?



 梅棹忠夫という人物をご存じだろうか?

 民族学者、文明学者として活躍し、国立民俗学博物館初代館長を勤めた人物だ。

誠 Biz.IDの読者には、京大式カードを一躍有名にした名著『知的生産の技術』でおなじみかもしれない。2010年に90歳で亡くなり、生涯を通じて7000冊以上の著作を遺した「知の巨人」。その足跡と、実際に梅棹氏が使っていた「知的生産の道具たち」に触れ、その神髄を知ることができる展示「ウメサオ タダオ展—未来を探検する知の道具—」が、東京お台場の日本科学未来館で開催されている。
【拡大画像や他の画像】
●ウメサオ タダオ展—未来を探検する知の道具—

 特設サイト:http://www.miraikan.jst.go.jp/sp/umesaotadao/

●アイドルユニット「Feam」と未来館に行ってみた

 筆者のような「梅棹ファン」にとって、この展示は必見なのは当然なのだが、震災があり経済と政治の混乱の中にある今、梅棹忠夫氏を知らない人にもこの展示を見てもらいたい。物事について深く考えを巡らし、それを他者と共有することは難しい時代を生き抜く術でもある——そんな思いで、今回アイドルユニット「Feam」と未来館を訪れた。

 事情があり活動ができなくなった2010年に「未来の作り方」という歌詞をアメブロに書き残したリーダーのYukiさん。その歌が再始動のきっかけとなり再び活動中のFeamだが、二十歳そこそこの彼女達にとって、今日は「うめさおただお」という「知らないおじさん」についてはじめて触れる機会だ。果たして、何かをつかんでくれるのだろうか? 一抹の不安を覚えつつ、会場に入る。

●ノート、カード、こざね——今に通じる知の道具たち

 京大式カードで知られる梅棹氏も、最初は研究やフィールドワークの記録は大学ノートに書き留めていた(この後紹介する氏の足跡を知る展示では、戦後、物資が不足する中で紙の入手に苦労したり、海外の調査で地図を持ち帰る際、スパイ嫌疑を逃れるためにバラバラにした地図の裏側にスケッチをしたといったエピソードも、実際の資料と共に知ることができる)。

 しかし、ノートでは情報の共有や、検索性には限界がある。それを高めるためにその内容をカードに転記するスタイルに転じていき、やがて、最初からカードに情報を記入するワークフローができ上がっていく。

 キャビネットにびっしりと格納されたカード、そして、さまざまなサイズの資料も定型サイズのオリジナルフォルダーに収められている。氏は65歳のときに失明しているが、その後より精力的に執筆(口述筆記)の速度が上がっていく。それを可能にしたのが、この膨大なデータベースなのだ。

 「知的生産の技術」が上梓されてから40年以上がたつが、その考え方、情報との向き合い方は、現代の私たちにとっても刺激的で有益なものばかりだ。Evernoteのように、カード形式でクラウド上に情報を記録するサービスを利用する際にも、役に立つことは言うまでもない。

 さらにFeamのメンバーたちが「なるほど」と驚いていたのが、梅棹氏が執筆の際活用していた「こざね法」と呼ばれる、小さな紙片をホチキスで組み合わせる思考術だ。こざねとは、武者鎧の魚のうろこのようになっている部分のこと。単純でどこにでもある材料で始められるが、アイデアや思考の幅が拡がっていくことを体感できる。

 Chiakiさんは「いままで歌詞を考えるときルーズリーフに書き留めていたけれど、これならもっといろんな組み合わせが生まれそう」と目を輝かせていた。

●「知的プレイボーイ」の90年の歩みを辿る

 会場をぐるりと囲むのは、梅棹氏の生涯の足跡を辿る展示だ。幼少期から山に親しみ、中学生のときに初めての本を出版。研究者となって以降も世界中を旅しながら、文化や歴史への造詣を深めていく様を見ていくことができる。

 「先日ドラマとなり話題を集めた南極探検ですが、あのタロ・ジロをはじめ最初の越冬隊の犬ぞり犬たちの訓練をしたのも梅棹さんなんですよ」(鈴木さん)

 梅棹氏は「知のプレイボーイ」と呼ばれることもある。女性に対してという意味ではもちろんなく、民族学、生態学を起点として「妻無用論」と銘打った日本の家庭観に一石を投じる論文を発表したり、大阪万博プロジェクトの中で当時は実現が難しかった「公園内の研究施設」の設立(大学院も併設する国立民族学博物館)を成功させたりと、その知的関心・活動の幅の広さと多様さをたとえたものだ。

 アイドルとして5年目を迎えた若いFeamのメンバーたちも、1人の人物の足跡を実際に氏が集めた資料や、執筆した文章と合わせて見ることで感じ入ることが多かったようだ。

●実際にカード作りや「こざね」を体験

 会場では知的生産の技術でも紹介している京大式カードや、こざねを実際に使って、展示を見て感じたこと、考えた事をデジタルデータとして記録できるシステムも置いている。

 Feamのメンバーも、早速チャレンジ。

 梅棹氏が初代館長を務めた民族学博物館と同様、館内の展示の多くは手に触れることができ、また撮影も自由にできる。記入したカードやこざねは持ち帰ることも可能だ。

●暗黒のかなたの光明

 震災後、NHKの特集番組でも紹介した「暗黒のかなたの光明」という氏の未完の書のピックアップの1つが今回の展示を貫くテーマになっている。未完の書「人類の未来」は、文明学者でもある氏が、人類の未来がこの先どうなっていくのかを見据えようとして、あまりの希望のなさに途中で筆を置いてしまったといういわくつきの本だ。

 書籍の構成案やこざねは残されており、この内容については論考集『梅棹忠夫の「人類の未来」暗黒のかなたの光明』で、氏の後継者の1人、小長谷有紀氏(小長谷氏は不定期に今回の展示ガイドもつとめ、好評を博している)はじめ識者が考えを寄せているのだ。

 「人類は賢くなりすぎた。そのため人類の未来は暗い」と考えた氏の未来図は、震災後、原発事故による放射能に苦しめられる私たちにとって重い。だが、未完の本書の構成案の最後は「暗黒のかなたの光明」で結ばれている。梅棹氏がどんな光明を見いだしたのか、そこに至る道筋とは一体何なのか——。

 2月20日までと残された開催期間は短いが、今週末1月20日(金)にはシンポジウム(申し込みは終了)を予定しており、翌21日(土)と併せて21時まで開館時間を延長する(通常は17時まで)。「初ウメサオ体験」だったFeamも大いに刺激を受け大満足だったこの「ウメサオタダオ展」。この機会に足を運んでみてはいかがだろうか?

●著者紹介:まつもとあつし

 ジャーナリスト・プロデューサー。ASCII.jpにて「メディア維新を行く」、ダ・ヴィンチ電子部にて「電子書籍最前線」連載中。著書に『スマート読書入門』(技術評論社)、『スマートデバイスが生む商機』(インプレスジャパン)『生き残るメディア死ぬメディア』(アスキー新書)など。

 取材・執筆と並行して東京大学大学院博士課程でコンテンツやメディアの学際研究を進めている。DCM(デジタルコンテンツマネジメント)修士。Twitterのアカウントは@a_matsumoto。



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120119-00000029-zdn_b-bus_all
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